自然・環境

自然共生サイトとは?認定の対象と相談前の確認事項

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自然共生サイトは、生きものが暮らす場所を守り、回復させたり、新たにつくったりする計画を国が認めた区域です。認定の検討では、緑の多さに加え、どんな動植物が暮らし、誰が管理を続けられるかが大切になります。会社が管理する林や農園なら、土地の現在の状態と目指す状態、活動できる範囲を整理すると、申請窓口で相談したい点が見えてきます。[1][5]

この記事の内容
  1. 今ある自然を守る、取り戻す、新たにつくる計画
  2. 自然の価値は、景色の印象だけでは伝わらない
  3. 活動する土地の範囲と、管理を続ける人を決める
  4. 海外の評価と日本の認定は、役割が異なる
  5. 浜松市の認定事例:連理の木の下でと、さなるの森
  6. 最初の相談には、地図と手元の記録を用意する
  7. 参考文献

今ある自然を守る、取り戻す、新たにつくる計画

この制度で守ろうとしているのは、生きものの種類、同じ種類の中の違い、暮らす環境の違いです。こうしたさまざまな違いを生物多様性と呼びます。木が何本あるかだけでは、その場所にどんな動植物が暮らし、どのような環境に支えられているかまではわかりません。[6]

申請の案内と受付を担う環境再生保全機構の手引きでは、今ある自然を守る活動、失われた自然を回復させる活動、その地域の生きものが暮らす場所を新たにつくる活動を分けています。2026年2月の申請書の見直しで、これらを一つの計画に組み合わせられるようになりました。[1]

例えば、手入れを続けてきた林と、手入れを再開したい林が隣り合っていれば、同じ敷地でも現状と目標が違うかもしれません。場所ごとに守りたいものと変えたい状態を書くと、計画を検討しやすくなります。ただし、過去の利用や管理の記録が足りない場合、その林でどの活動が適切か、認定の条件を満たすかは、追加の調査や相談が必要です。

自然の価値は、景色の印象だけでは伝わらない

今ある自然を守る計画では、さまざまな生きものを育む場所、珍しい動植物が暮らす場所、周囲の林などをつなぐ場所としての価値のいずれかを、資料で客観的に示すことが審査の観点です。緑の広さや景色の印象だけでは、その価値まで説明できません。[2]

どの資料が役立つかは、説明したい自然の価値によって変わります。例えば、動植物の調査、周囲の地図、手入れの記録には、それぞれ次のような確認点があります。すべての土地でこの三種類が必要という意味ではありません。

  • 動植物の調査:確認した種類、日付、調べた範囲が、その土地の地図と結び付いているか
  • 周囲の地図:林・池・水路などの位置と、動物の移動などについて確認できたことが示されているか
  • 手入れの記録:どの場所で何を続け、その作業が守りたい自然とどう関わっているか

昔の調査に珍しい植物の名前があっても、確認された場所が不明なら、現在の計画の根拠として使えるかは専門家への相談が必要です。また、自然を取り戻す計画や新たにつくる計画では、現在の状態とこれから目指す状態の説明が必要になります。今ある価値を示す資料と、将来の活動計画では、説明する内容が異なるためです。

活動する土地の範囲と、管理を続ける人を決める

審査では、活動区域の境界と面積、継続して活動できる体制などが確認されます。申請者が土地の所有者等と異なる場合には、同意が必要です。複数の人が関わる場合は、仕事と責任の分担に加え、相談し合える体制も求められます。[2]

農園の横に林や水路が続いていても、農園の管理者がすべてを手入れできるとは限りません。候補の場所を地図で囲み、持ち主、管理者、日常的に利用する人との関係を整理する必要があります。景色として一続きに見えても、土地を使う権限は場所によって異なるためです。

  • 活動区域と計画に含めない場所を、地図に示す
  • 土地の所有者・利用者・管理者との間で、確認した内容を記録する
  • 日常の作業担当、作業の変更を判断する人、担当交代時の引き継ぎ先を決める

人手や予算が足りなければ、申請書を整える前に、活動範囲や開始時期を見直す必要があります。特定の人だけが管理を担っている場合は、休みや担当交代への備えも欠かせません。外部から支援を受けても、土地の管理者が引き続き担う判断や作業を明らかにしておくと、役割の抜けを見つけやすくなります。

海外の評価と日本の認定は、役割が異なる

自然保護の指針をつくる国際自然保護連合は2023年、国立公園などの制度で守られた場所とは別に、自然が長く守られている場所を評価するための確認ツールを公表しました。管理主体が政府か企業か地域住民かという違いだけでなく、実際に自然が守られているか、関係する人の権利が尊重されているか、判断に足りない情報はないかを評価する考え方です。[3][4]

この指針は、土地の管理者が不足する情報や相談相手を考える際に参考になります。資料でわかること、専門家の調査が必要なこと、土地の利用者と話し合うことを整理する手掛かりです。ただし、日本の申請書や審査の代わりにはならないため、認定の準備は国内の手引きと窓口の案内に沿って進めます。

日本では、今ある自然を守る計画の区域について、国立公園などの制度で守られた場所との重複を除き、こうした区域を集める国際データベースへ登録します。自然を回復させる計画や新たにつくる計画は、認定を受ければ同じように国際登録されるわけではありません。[1]

浜松市の認定事例:連理の木の下でと、さなるの森

浜松市浜名区都田町の「連理の木の下で」は、愛管株式会社が運営する自然共生サイトです。2025年12月、浜松市で初めて自然共生サイトに認定されました。認定区域は約1.3ヘクタールで、農園と園庭の区域を中心に、化学農薬・化学肥料の使用を減らしながら、果樹に合わせて地表の草を生かす草生栽培などを行っています。[7]

ここは自然を守るだけの場所ではありません。農業、食、保育、環境技術などが集まる現場を生かし、全国のスタートアップや地域企業とも連携するオープンイノベーションの場として展開しています。地域の課題に、新しい技術やアイデアを持ち寄って取り組むためのフィールドでもあります。ただし、こうした共創の取り組みと、自然共生サイトの認定によって確認された内容は別のものです。[9]

近くの認定事例として、同じ浜松市内には一般財団法人浜松市公園緑地協会による「さなるの森をつなぐプロジェクト」もあります。浜松市の公式一覧では、どちらも今ある自然を守る「維持」類型に分類されています。活動の場所や管理主体が異なるため、どちらか一方の計画をそのまま別の土地に当てはめるのではなく、守る対象、活動区域、継続する管理体制を見比べることが参考になります。見学できるかどうかは、認定とは別に運営者へ確認する必要があります。[8]

最初の相談には、地図と手元の記録を用意する

最初の相談の準備には、候補地の地図、これまでの手入れの記録、生きものの調査資料、検討している作業案が役立ちます。「自然が豊かです」という印象だけでなく、「この場所に何が残り、どの状態を変えたいのか」を示すと、追加で必要な調査について話し合いやすくなります。わからない点も書き添えておけば、相談したい内容を伝えられます。

認定された場所を見学するときは、活動範囲を決めた理由、管理の担当、申請前に必要だった調査が参考になります。ただし、景色が似ていても、土地の状態や権利関係まで同じとは限りません。見学先の準備を参考にしながら、候補地に必要な資料や手続きは現行の申請窓口に相談することになります。

参考文献

本文中の番号から、根拠となる資料を確認できます。

  1. 地域生物多様性増進活動の手引き(概要編)公的資料 · 環境省・環境再生保全機構 · 2026年2月の様式見直し反映版

    今ある自然を守る、取り戻す、新たにつくる計画の選び方と、国際的な登録との関係

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  2. 認定基準に係る審査の観点(別紙1)公的資料 · 環境再生保全機構 · 発行年記載なし(2026年の申請案内掲載版)

    今ある自然の価値を資料で示すこと、活動する土地の範囲、持ち主の同意、手入れを続ける人と役割の決め方

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  3. Site-level tool for identifying other effective area-based conservation measures (OECMs)公的資料 · 国際自然保護連合 · 2023

    国際的に自然を守る場所として考える際、管理する人、長く続ける方法、足りない情報を確かめるための資料

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  4. About IUCN公的資料 · 国際自然保護連合 · 更新年記載なし(2026年確認)

    自然を守るための基準や、管理を見直す資料をつくる国際組織の役割

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  5. 自然共生サイトについて公的資料 · 環境再生保全機構 · 更新年記載なし(2026年確認)

    自然共生サイトが、自然を守るなどの計画を国が認めた区域であること

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  6. 用語集 | ネイチャーポジティブポータル公的資料 · 環境省 · 更新年記載なし(2026年確認)

    生物多様性に、生きものの種類、同じ種類の中の違い、暮らす環境の違いが含まれること

    確認日 2026-10-07本文へ戻る
  7. はままつネイチャーポジティブパートナーシップ協定の締結実績|愛管株式会社×浜松市公的資料 · 浜松市 · 2026年8月25日更新

    「連理の木の下で」が2025年12月に浜松市初の自然共生サイトとして認定されたこと、認定面積約1.3ha、農園と園庭の維持管理、草生栽培などの活動

    確認日 2026-10-20本文へ戻る
  8. 地域生物多様性増進法・自然共生サイト|浜松市域での認定状況公的資料 · 浜松市 · 2026年8月24日更新

    「連理の木の下で」と「さなるの森をつなぐプロジェクト」の申請者・所在・維持類型の比較

    確認日 2026-10-20本文へ戻る
  9. 連理の木の下で|公式サイトの取り組み・共創案内実施主体の事例 · 愛管株式会社 · 2026年10月20日確認

    農園・食・保育・環境技術の現場と、地域企業・スタートアップをつなぐ共創の方向性。全国の連携先については2026年10月20日の運営者による補足情報

    確認日 2026-10-20本文へ戻る